子どもの指しゃぶり・舌癖が歯並びに与える影響
2025年1月31日
子どもの指しゃぶりや舌の癖(舌癖)は、成長過程で自然に見られる行動ですが、長期間続くと歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼすことがあります。特に4~5歳以降も続く場合は、歯並びや顎の発育に影響する可能性が高いため、早めの対策が重要です。この記事では、指しゃぶり・舌癖の影響と改善方法について解説します。
1. 指しゃぶり・舌癖とは?
指しゃぶり
指しゃぶりは赤ちゃんの本能的な行動で、生後6か月~2歳頃までは自然な習慣です。しかし、4歳以降も続くと、歯や顎に影響を与える可能性が高くなります。
舌癖(舌の悪い癖)
舌の位置や動きのクセが習慣化したもので、特に「低位舌」「舌突出癖」「口呼吸」が問題になることが多いです。低位舌は舌が常に下にある状態、舌突出癖は食べるときや話すときに舌を前に押し出すクセを指します。口呼吸が続くと舌が上あごに正しく当たらず、歯並びに影響を与えることがあります。
2. 指しゃぶり・舌癖が歯並びに与える影響
指しゃぶりの影響
指をしゃぶることで、歯や顎に持続的な圧力が加わり、以下のような問題が起こることがあります。
- 開咬(かいこう):前歯が噛み合わず、隙間ができる。
- 上顎前突(じょうがくぜんとつ):いわゆる「出っ歯」になりやすい。
- 口呼吸の助長:口を閉じにくくなり、口呼吸が習慣化する。
舌癖の影響
舌が正しい位置にないと歯や顎に異常な力が加わり、以下のような問題が発生することがあります。
- 開咬:舌を前に出すクセがあると、前歯が噛み合わなくなる。
- 発音の問題:「サ行」「タ行」などが発音しづらくなることがある。
- 顎の成長の異常:舌が上あごにつかないと、顎が狭くなり、歯並びが乱れやすくなる。
3. 指しゃぶり・舌癖の改善方法
指しゃぶりのやめさせ方
指しゃぶりは無理にやめさせるとストレスを感じるため、自然に卒業できるようにサポートすることが重要です。
- 安心感を与える 指しゃぶりは不安やストレスが原因で続くこともあるため、スキンシップを増やしたり、寝る前に抱っこをすることで安心感を与えます。
- 「指しゃぶりしなくても大丈夫」と優しく声をかける いきなり「やめなさい」と叱るのではなく、少しずつ減らすことを意識させましょう。
- 物理的対策 手にバンソウコウを貼る、指サックをつける、指しゃぶり防止の苦味成分入りの塗布剤を使うなどの方法で、指しゃぶりをしにくくします。
- ご褒美作戦 「○日間できたらご褒美」というルールを作り、モチベーションを高めます。
舌癖の改善トレーニング
舌の正しい使い方を身につけるために、トレーニングを行うことが効果的です。
- 正しい舌の位置を意識する 舌は本来、上あごに軽く触れているのが正しい位置です。口を閉じた状態で舌を上あごにくっつける練習をします。
- あいうべ体操
- 「あー」と口を大きく開ける。
- 「いー」と口角を横に引く。
- 「うー」と口を突き出す。
- 「べー」と舌を思い切り出す。
これを1日30回繰り返すことで、舌の筋力が向上します。
- 口を閉じる練習 口を閉じる習慣をつけ、口呼吸を防ぐために、寝ているときに口にテープを貼る「口テープ」などを活用します。
- 硬いものを食べる よく噛むことで舌の筋力を鍛え、正しい舌の動きを習得できます。煎餅やスルメ、ガムをしっかり噛む習慣をつけるとよいでしょう。
4. 歯科医院でのサポート
定期的な歯科検診
指しゃぶりや舌癖による歯並びの変化をチェックし、必要に応じて適切な指導を受けることが重要です。
口腔筋機能療法(MFT)
歯科医院では、舌の正しい使い方を身につけるための専門的なトレーニング(MFT)が行われることがあります。これは、舌や唇、口周りの筋肉を強化し、正常な発音や噛み合わせを促す治療法です。
矯正治療
5~7歳で歯並びに影響が出始めた場合、矯正治療が必要になることもあります。指しゃぶりや舌癖が原因で歯並びが悪くなった場合、マウスピース矯正やワイヤー矯正が選択肢となります。
5. まとめ
指しゃぶりや舌癖は、4~5歳以降も続くと歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの対策が重要です。
指しゃぶりの対策
- 子どものストレスを減らし、安心感を与える。
- バンソウコウや指サックを使って、無意識の指しゃぶりを防ぐ。
- できたら褒める・ご褒美作戦を活用する。
舌癖の対策
- あいうべ体操などのトレーニングで舌の位置を改善する。
- 口を閉じる練習を行い、口呼吸を防ぐ。
- 硬いものをよく噛む習慣をつける。
- 歯科医院でのMFT(口腔筋機能療法)を検討する。
子どもの歯並びを守るためには、正しい口腔習慣を身につけることが大切です。気になる癖がある場合は、早めに歯科医院で相談し、適切なアドバイスを受けましょう。






