2025年6月11日
歯科コラム|肩こりと噛み合わせの深い関係 – 一歩進んだ全身ケア
肩こりに悩む多くの方々が、整体やマッサージを試しても根本改善に至らないことがあります。実は、その原因のひとつとして「噛み合わせ(咬合)」に問題が潜んでいるケースが少なくありません。当院ではこの視点を取り入れ、肩や首の不調に対して噛み合わせ改善に取り組んでいます。
🧩 どうして噛み合わせが肩こりに!?
噛み合わせの乱れ(不正咬合)は、顎を支える咀嚼筋(咬筋・側頭筋など)に過度の緊張を引き起こします。この緊張が咀嚼筋と連動する頸部・肩の筋肉にも影響し、血流が滞って慢性的な肩こりや首こりを招くのです 。さらに、悪い噛み合わせが顎関節や頚椎のずれを誘発し、頭痛や腰痛、自律神経失調につながる場合もあります 。
💡 気づかれにくいサイン
- 朝起きたときに顎や首・肩が重い、だるい
- 無意識に食いしばっている、自覚がある
- 顎にカクカク音や引っかかりがある
- マッサージだけでは改善しにくい慢性肩こり
このような症状がある方は、噛み合わせのチェックをおすすめします 。
🔧 噛み合わせ改善がもたらす効果
— 矯正治療による咬合の見直し
歯列矯正やスプリント(マウスピース)で噛み合わせを整えると、顎・首・肩の筋肉負担が軽減され、肩こりや頭痛の改善が期待できます 。
— ナイトガードによる歯ぎしり対策
寝ている間の歯ぎしりや食いしばりによる筋肉の過緊張が原因の場合、ナイトガード装着により症状が和らぐことが多くあります 。
— 全身バランスと姿勢の改善
噛み合わせのズレによる頭部の傾きなどは、猫背など姿勢の崩れを招き、慢性こりを悪化させます。咬合調整により自然な姿勢が回復し、身体全体が楽になるケースも報告されています 。
🏥 当院での取り組み
- 精密な咬合評価
咬合診査や顎関節・咀嚼筋の状態を細かくチェックし、原因を科学的に分析します。
- 個別化された咬合理想形の構築
矯正治療・補綴・スプリントを組み合わせながら、「顔・噛む機能・筋肉」とのバランスを考慮した咬合設計を行います。
- ナイトガードの活用
歯ぎしり・食いしばりの習慣がある方には、オーダーメイドの夜間用マウスピースを提供し、筋肉への負担を軽減します。
- セルフケアの指導
日常生活で無意識のくいしばりを防ぐ姿勢指導や、あいうべ体操などの簡単な筋緩和法をサポートします。
- 専門家との連携治療
必要に応じて整形外科・理学療法士と協力し、包括的な全身ケアを提供します。
✅ まとめ
肩こりは、単なる筋肉疲労だけではなく、「噛み合わせ」のバランスが根本的に関与している場合があります。マッサージで改善しない慢性こりを抱えている方は、一度歯科で咬合チェックを受けてみてはいかがでしょうか?
当院では、噛み合わせから始まる全身のトータルケアを目指し、皆さまの健康と快適な生活をサポートしております。ご相談だけでも大歓迎ですので、お気軽にお問い合わせください。
「正しい噛み合わせ」がもたらす7つの健康メリット 🦷
2025年6月11日
「正しい噛み合わせ」がもたらす7つの健康メリット 🦷
1. むし歯・歯周病リスクの低減
きちんと噛み合う歯並びは、お口の清掃性が向上し、歯ブラシやフロスが届きやすくなります。その結果、むし歯や歯垢の蓄積が減少し、歯周病の予防にもつながります 。
2. 歯や修復物の摩耗・破損防止
噛み合わせが悪いと一部の歯や詰め物、被せ物に過度な力がかかり、亀裂や破損の原因となります。適切な咬合調整により、こうした局所的なストレスを分散し、歯の寿命を延ばすことができます。
3. 顎関節・筋肉の負担軽減
不正咬合による噛む動作は顎の関節や筋肉に無理な負荷をかけ、顎関節症や頭痛、肩・首のこりなどの症状を引き起こします。正しい噛み合わせを回復することで、これらの症状が緩和されるケースも多くあります。
4. 消化器官への負担軽減
よく噛むことで食べ物が細かくなり、胃や腸への負担が軽減されます。噛み合わせが整えば消化効率が上がり、栄養吸収が促進され、体全体の健康にも良い影響が期待できます 。
5. 呼吸・発音の改善
正しい噛み合わせは舌の適切な配置をサポートし、口呼吸やいびき、発音の改善につながります。特にお子さんの成長期には、口腔機能の発育を支える上で非常に重要です 。
6. 顔のバランス・印象の向上
噛み合わせが整うと顔の左右バランスが改善し、笑顔に自信が持てるようになります。見た目の美しさだけでなく、精神面での安心感も得られやすくなります 。
7. 総合的なQOL(生活の質)の向上
噛み合わせ改善による清掃性、噛む機能、呼吸や姿勢の改善などの相乗効果により、全身の快適さが向上します。これらは日常生活において非常に大きなメリットとなり、健康寿命延伸にもつながります 。
当院での取り組み
- 咬合診査システムの導入:定期検診時には噛み合わせの状態をチェックし、小さなズレも見逃しません。
- 患者様個別の治療計画:食生活・仕事・生活習慣も考慮し、安全かつ自然な噛み合わせを目指します。
- 専門家との連携:必要時には矯正歯科医や顎関節症の専門家と連携し、包括的な咬合治療をご提供します。
- 噛む機能改善トレーニング:あいうべ体操などを取り入れ、日常生活でも機能改善をサポートしています。
ご相談ください
噛むときの違和感や顎の痛み、肩こり・頭痛など、もしかすると「噛み合わせ」が原因かもしれません。
気になる症状がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、歯と全身の健康を見据えたトータルケアをご提供しています。健康で快適な毎日を、あなたの噛み合わせからサポートします。
子どもの仕上げ磨きのコツとやってはいけないNG集
2025年5月31日
以下は、保護者向けにわかりやすく伝える歯科医院ブログ記事案「子どもの仕上げ磨きのコツとやってはいけないNG集」です。医院の信頼性を高め、親子の予防意識を育てる内容として活用できます。
子どもの仕上げ磨きのコツとやってはいけないNG集
◆ 「ちゃんと磨けてるかな?」と心配な親御さんへ
乳歯や生えたての永久歯は、むし歯になりやすく、仕上げ磨きがとても重要です。
でも実際は、「嫌がってさせてくれない」「毎日格闘です…」というお声もよく聞きます。
今回は、仕上げ磨きを上手にするためのコツと、やってはいけないNG行動をご紹介します。
◆ 年齢別:仕上げ磨きの目安
年齢 |
目安時間 |
ポイント |
1〜2歳 |
1~2分 |
前歯中心、遊び感覚で |
3〜5歳 |
2〜3分 |
奥歯の溝や歯と歯ぐきの境目を丁寧に |
6歳~小学生 |
3分以上 |
永久歯と乳歯の混在に注意、本人の磨き残しをカバー |
◆ 仕上げ磨きの基本のコツ5つ
① 寝かせ磨きで視界を確保
→ 仰向けに寝かせると口の中がよく見えます。
② 小刻みに優しく動かす
→ ゴシゴシではなく、1~2本ずつ細かく動かします。
③ 歯と歯ぐきの境目を意識
→ むし歯や歯肉炎はこの境目に多く発生します。
④ 上唇の裏のスジ(上唇小帯)に注意
→ 特に前歯を磨くときはブラシが当たらないよう配慮を。
⑤ コミュニケーションも大切に
→ 「上手にできたね!」「今日はピカピカだよ」などの声がけで楽しい時間に。
◆ これやってない?NG行動5選
❌ 力を入れすぎてゴシゴシ磨く
→ 歯ぐきを傷つけ、痛みや出血で「歯みがき嫌い」に。
❌ 怒りながら磨く
→ 緊張や恐怖が残り、協力してくれなくなります。
❌ 歯ブラシが古いまま
→ 毛先が開いたブラシは汚れが落ちにくく、刺激も強いです。
❌ 時間をかけすぎてダラダラと
→ だらけて集中力が切れやすくなります。2~3分で手早く!
❌ お子さん任せでチェックしない
→ 小学校低学年までは、保護者のチェックと仕上げ磨きが必須です。
◆ まとめ:仕上げ磨きは「習慣化」と「笑顔」がカギ
✅ 年齢や成長に応じた対応が大切
✅ 嫌がらずにできる工夫や声かけを
✅ 大人のイライラが子どもに伝わらないよう注意!
◆ 当院の取り組み
当院では、仕上げ磨きの方法を実際にお見せしたり、年齢に応じた歯みがき指導を行っています。
「うまく磨けてるか不安」「嫌がって困っている」などのお悩みも、遠慮なくご相談ください。
歯科用CTの被ばく量は?実は「飛行機より少ない」って本当?
2025年5月24日
CTと聞くと「放射線って大丈夫なの?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
でも実は、歯科用CTの被ばく量はとても少なく、日常生活レベルに近いものなんです。
◆ 歯科用CTの被ばく量は?
機種や撮影範囲にもよりますが、歯科用CTの被ばく線量はおおよそ:
👉 0.03~0.2ミリシーベルト(mSv)
に相当します。
◆ 飛行機と比べてみましょう
たとえば、飛行機に乗って東京からニューヨークへ往復すると、
👉 約0.2ミリシーベルトの被ばくがあります(高高度で宇宙線を受けるため)。
つまり、
歯科用CT = 飛行機で海外旅行する程度か、それ以下の被ばく量
ということになります。
◆ まとめ:安心してCTをご利用ください
✅ 歯科用CTの被ばく量はごくわずか
✅ 海外旅行や日常生活と同程度の自然放射線レベル
✅ 必要な撮影は、治療の精度と安全性を高めるための大切なステップ
当院では、被ばく線量の少ない高性能CTを使用し、必要最小限で正確な診断を行っています。
ご不安な点があれば、いつでもご相談ください。
導入機器紹介:当院のCTスキャンで何がわかる?
2025年5月24日
◆ レントゲンとどう違うの?歯科用CTとは
当院では、より正確で安全な診断・治療のために**歯科用CT(3D撮影装置)**を導入しています。
一般的なレントゲンが「平面(2D)画像」であるのに対し、CTは立体的(3D)な画像を撮影できるのが最大の特徴です。
歯や骨、神経、病変の位置関係を360度の角度から確認でき、**“見えないものが見える”**ようになります。
◆ 歯科用CTでわかること(使用例)
① インプラント治療前の診断
② 親知らずの抜歯時
③ 根管治療(歯の神経の治療)
④ 歯周病の進行度確認
⑤ 顎関節・のう胞・病変の評価
◆ CT撮影は安全?被ばくは大丈夫?
当院のCT装置は、医科用CTよりも被ばく量が大幅に少ない歯科専用の機器を採用しています。
撮影時間も短く、数十秒で終了するため、体への負担は最小限です。
また、撮影が必要かどうかは、患者さんの症状や治療計画に応じて慎重に判断しておりますので、ご安心ください。
◆ まとめ:見えない部分を「見える化」する安心
✅ 歯科用CTは、骨・神経・病変などを立体的に確認できる
✅ より安全で正確な治療(特にインプラントや親知らず)に役立つ
✅ 当院では低被ばく・短時間で安心のCT撮影を実施
◆ 当院のこだわり
当院では、「見えない不安をなくす」ための機器導入に力を入れています。
「CTって必要?」「費用は?」など、ご不明な点があればいつでもお気軽にご相談ください。
しっかり説明の上で、安心・納得のうえで治療を進めてまいります。
歯周病は沈黙の病気?初期症状と放置のリスク
2025年5月23日
◆「痛くないから大丈夫」は本当?
歯周病(ししゅうびょう)は、日本人の成人の約8割がかかっているとも言われる国民病です。
にもかかわらず、気づかないうちに進行してしまう――それが「沈黙の病気」と呼ばれる理由です。
実際、「歯ぐきから血が出ている」「口臭が気になる」といった初期のサインを見逃してしまい、症状が進行してから受診される方が多く見られます。
◆ 歯周病の初期症状、見逃していませんか?
以下のような症状があれば、歯周病のはじまりかもしれません。
- 朝起きたときに口の中がネバつく
- 歯ブラシの時に血が出る
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 口臭が気になる
- 歯が浮いたような違和感がある
これらは**歯周病の初期段階(歯肉炎・軽度歯周炎)**のサインです。
この時点での治療なら、比較的簡単なクリーニングや生活習慣の改善で回復が見込めます。
◆ 放置するとどうなる?歯周病の進行ステージ
歯周病は、放置すると歯を支える骨が溶けてしまう病気です。以下のように進行していきます:
- 歯肉炎(初期):歯ぐきが赤く腫れる・出血する
- 軽度歯周炎:歯ぐきの腫れに加え、歯周ポケットが深くなる
- 中度歯周炎:歯がぐらつき始める、強い口臭や痛みが出る
- 重度歯周炎:歯を支える骨が大きく溶け、抜歯の可能性が出てくる
このように、気づいたときには“手遅れ”というケースも少なくありません。
◆ 歯周病が引き起こす「全身への影響」
歯周病はお口の中だけの問題ではありません。
最近の研究では、以下のような全身疾患との関連も指摘されています。
- 糖尿病の悪化
- 心疾患・脳梗塞のリスク上昇
- 誤嚥性肺炎
- 早産・低体重児出産
「たかが歯ぐき」と思わず、全身の健康のためにも予防と早期治療が重要です。
◆ まとめ:沈黙の病気だからこそ、定期チェックを
✅ 歯周病は初期には痛みが少ないため、発見が遅れがち
✅ 放置すると歯が抜けるだけでなく、全身に影響も
✅ 定期的な歯科検診とプロによるクリーニングが早期発見のカギ
◆ 当院の取り組み
当院では、歯周病の早期発見・予防処置・生活習慣指導を丁寧に行っています。
「歯ぐきから出血してるかも」「ちょっと気になるだけだけど…」
――そんな時こそ、お気軽にご相談ください。
あなたの大切な歯を守るため、全力でサポートします。
むし歯と知覚過敏の違い、見分けられますか?
2025年5月23日
「キーンとしみた!これってむし歯…?」
冷たい水や甘いものを口にしたとき、キーンと歯がしみることはありませんか?
多くの方が「むし歯かも?」と心配されますが、実はそれ知覚過敏の可能性もあります。
では、この2つの違いはどうやって見分ければ良いのでしょうか?
今回は、患者さんからよくあるこの疑問にお答えします。
◆ むし歯と知覚過敏の“痛み方”の違い
|
むし歯 |
知覚過敏 |
発症原因 |
細菌が歯を溶かす |
エナメル質の摩耗や歯ぐきの後退など |
痛むタイミング |
甘いもの・冷たいもの・温かいものなど、刺激に関係なく持続的な痛み |
冷たいもの・ブラシが当たったときなど、一瞬だけしみる |
痛みの種類 |
ズキズキ・ジンジンと持続する |
一瞬「キーン」と鋭く走る痛み |
見た目の変化 |
黒くなっていたり穴が開いていたりする |
見た目に異常がない場合が多い |
◆ 知覚過敏の原因とは?
知覚過敏の主な原因は、**象牙質(エナメル質の内側)**が露出してしまうことです。
以下のような行動や習慣が引き金になります:
- 歯ぎしり・食いしばり
- 歯ブラシの強すぎる圧
- 酸性の飲食物の摂取(例:炭酸飲料、レモン)
- 加齢による歯ぐきの退縮
放置すると痛みが強くなったり、歯のダメージが進行したりすることもあります。
◆ こんな症状が出たら要注意!
- 歯が黒ずんでいたり、穴が空いている
→ むし歯の可能性が高いです。
- 冷たいものや歯ブラシで一瞬しみるが、すぐにおさまる
→ 知覚過敏の可能性大。
- 痛みが徐々に強くなってきている
→ むし歯が神経に近づいているサインかもしれません。
◆ 自己判断せず、早めの受診を
むし歯と知覚過敏は症状が似ていても治療法がまったく異なります。
「しみるけど放っておけば治るかも…」と思っているうちに、むし歯が神経まで進行してしまうケースも少なくありません。
しみる原因がわからない場合は、歯科医院で正確な診断を受けましょう。
◆ 当院の取り組み
当院では、むし歯・知覚過敏の原因の見極めと、患者さん一人ひとりに合ったケアを重視しています。
「最近しみる気がするけど…」「歯は見た目はきれいなのに痛い」など、どんな小さなことでも構いません。
気になる症状があれば、いつでもご相談ください。
まとめ
✅ むし歯と知覚過敏は“痛み方”や“原因”が異なる
✅ 見た目に異常がなくても、放置はNG
✅ しみる症状は、歯科でのチェックが必要!
人工甘味料とむし歯
2025年2月19日
人工甘味料は、砂糖の代替品として広く使用されています。これらは化学的に合成された甘味成分で、砂糖と比較してカロリーが低く、血糖値への影響も少ないとされています。さらに、虫歯のリスクに関しても注目されています。
人工甘味料と虫歯の関係
虫歯は、口腔内の細菌が糖分を分解して酸を生成し、その酸が歯のエナメル質を溶かすことで発生します。砂糖(ショ糖)は、これらの細菌の主要なエネルギー源となり、酸の生成を促進します。一方、人工甘味料は細菌が利用できないため、酸の生成が抑制され、結果として虫歯のリスクが低減されます。
代表的な人工甘味料
- スクラロース:砂糖の約600倍の甘さを持ち、カロリーはほぼゼロです。虫歯の原因となる酸を生成しません。
- アスパルテーム:砂糖の約200倍の甘さで、カロリーは砂糖の約4分の1です。虫歯菌が酸を作り出すことができないため、虫歯のリスクを低減します。
- キシリトール:天然由来の甘味料で、虫歯菌が酸を生成できないだけでなく、歯の再石灰化を促進する効果もあります。
注意点
人工甘味料自体は虫歯のリスクを低減しますが、これらを含む製品には他の成分が含まれている場合があります。例えば、ゼロカロリーの炭酸飲料には酸性の成分が含まれており、これが歯のエナメル質を弱める可能性があります。そのため、人工甘味料を含む製品を摂取する際には、成分表示を確認し、適度な摂取を心がけることが重要です。
また、2023年には世界保健機関(WHO)から、人工甘味料の長期的な健康影響に関する勧告が出されています。詳細な影響については今後の研究が必要とされていますが、過剰な摂取は避け、バランスの良い食生活を心がけることが大切です。
総じて、人工甘味料は適切に使用することで、虫歯のリスクを低減する有効な手段となり得ます。しかし、製品の成分や摂取量に注意し、定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを継続することが、口腔の健康維持には不可欠です。
金属アレルギーと歯科治療
2025年2月18日
金属アレルギーは、特定の金属に接触することで皮膚炎や湿疹などのアレルギー反応を引き起こす症状です。歯科治療で使用される金属も、口腔内での長期的な接触によりアレルギーの原因となることがあります。特に、銀歯(銀合金)や金属製の詰め物・被せ物が原因となるケースが報告されています。
金属アレルギーの症状
口腔内の金属が原因の場合、以下のような症状が現れることがあります:
- 口腔内の症状:口内炎、舌のヒリヒリ感、口唇の腫れなど。
- 全身の症状:手や足の湿疹、皮膚炎、掌蹠膿疱症(手のひらや足の裏に膿を持つ発疹ができる)など。
これらの症状が見られる場合、口腔内の金属が原因となっている可能性があります。
金属アレルギーの診断と治療
金属アレルギーが疑われる場合、まず皮膚科でパッチテストを受け、どの金属に対してアレルギー反応があるかを特定します。その後、歯科医師と連携し、口腔内の金属製修復物をアレルギーを引き起こさない素材に置換する治療が行われます。
メタルフリー治療の選択肢
金属を使用しないメタルフリー治療として、以下のような素材が選ばれます:
- セラミック:審美性が高く、耐久性にも優れていますが、保険適用外となることが多く、費用が高めです。
- レジン(歯科用プラスチック):保険適用が可能で、費用を抑えられますが、耐久性や審美性でセラミックに劣る場合があります。
近年では、特定の条件下で保険適用となる白い被せ物や詰め物も登場しています。例えば、ハイブリッドセラミックを使用したCAD/CAM冠が、小臼歯や大臼歯で保険適用となる場合があります。
治療の流れ
- 診断:皮膚科でパッチテストを受け、アレルギーの原因となる金属を特定します。
- 歯科での対応:原因となる金属製の詰め物や被せ物を、セラミックやレジンなどの非金属素材に置き換えます。
- 経過観察:治療後、症状の改善状況を定期的に確認します。
金属アレルギーの症状や治療法は個人差があるため、専門の医師や歯科医師と相談し、適切な対応を行うことが重要です。
子どもの指しゃぶり・舌癖が歯並びに与える影響
2025年1月31日
子どもの指しゃぶりや舌の癖(舌癖)は、成長過程で自然に見られる行動ですが、長期間続くと歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼすことがあります。特に4~5歳以降も続く場合は、歯並びや顎の発育に影響する可能性が高いため、早めの対策が重要です。この記事では、指しゃぶり・舌癖の影響と改善方法について解説します。
1. 指しゃぶり・舌癖とは?
指しゃぶり
指しゃぶりは赤ちゃんの本能的な行動で、生後6か月~2歳頃までは自然な習慣です。しかし、4歳以降も続くと、歯や顎に影響を与える可能性が高くなります。
舌癖(舌の悪い癖)
舌の位置や動きのクセが習慣化したもので、特に「低位舌」「舌突出癖」「口呼吸」が問題になることが多いです。低位舌は舌が常に下にある状態、舌突出癖は食べるときや話すときに舌を前に押し出すクセを指します。口呼吸が続くと舌が上あごに正しく当たらず、歯並びに影響を与えることがあります。
2. 指しゃぶり・舌癖が歯並びに与える影響
指しゃぶりの影響
指をしゃぶることで、歯や顎に持続的な圧力が加わり、以下のような問題が起こることがあります。
- 開咬(かいこう):前歯が噛み合わず、隙間ができる。
- 上顎前突(じょうがくぜんとつ):いわゆる「出っ歯」になりやすい。
- 口呼吸の助長:口を閉じにくくなり、口呼吸が習慣化する。
舌癖の影響
舌が正しい位置にないと歯や顎に異常な力が加わり、以下のような問題が発生することがあります。
- 開咬:舌を前に出すクセがあると、前歯が噛み合わなくなる。
- 発音の問題:「サ行」「タ行」などが発音しづらくなることがある。
- 顎の成長の異常:舌が上あごにつかないと、顎が狭くなり、歯並びが乱れやすくなる。
3. 指しゃぶり・舌癖の改善方法
指しゃぶりのやめさせ方
指しゃぶりは無理にやめさせるとストレスを感じるため、自然に卒業できるようにサポートすることが重要です。
- 安心感を与える 指しゃぶりは不安やストレスが原因で続くこともあるため、スキンシップを増やしたり、寝る前に抱っこをすることで安心感を与えます。
- 「指しゃぶりしなくても大丈夫」と優しく声をかける いきなり「やめなさい」と叱るのではなく、少しずつ減らすことを意識させましょう。
- 物理的対策 手にバンソウコウを貼る、指サックをつける、指しゃぶり防止の苦味成分入りの塗布剤を使うなどの方法で、指しゃぶりをしにくくします。
- ご褒美作戦 「○日間できたらご褒美」というルールを作り、モチベーションを高めます。
舌癖の改善トレーニング
舌の正しい使い方を身につけるために、トレーニングを行うことが効果的です。
- 正しい舌の位置を意識する 舌は本来、上あごに軽く触れているのが正しい位置です。口を閉じた状態で舌を上あごにくっつける練習をします。
- あいうべ体操
- 「あー」と口を大きく開ける。
- 「いー」と口角を横に引く。
- 「うー」と口を突き出す。
- 「べー」と舌を思い切り出す。
これを1日30回繰り返すことで、舌の筋力が向上します。
- 口を閉じる練習 口を閉じる習慣をつけ、口呼吸を防ぐために、寝ているときに口にテープを貼る「口テープ」などを活用します。
- 硬いものを食べる よく噛むことで舌の筋力を鍛え、正しい舌の動きを習得できます。煎餅やスルメ、ガムをしっかり噛む習慣をつけるとよいでしょう。
4. 歯科医院でのサポート
定期的な歯科検診
指しゃぶりや舌癖による歯並びの変化をチェックし、必要に応じて適切な指導を受けることが重要です。
口腔筋機能療法(MFT)
歯科医院では、舌の正しい使い方を身につけるための専門的なトレーニング(MFT)が行われることがあります。これは、舌や唇、口周りの筋肉を強化し、正常な発音や噛み合わせを促す治療法です。
矯正治療
5~7歳で歯並びに影響が出始めた場合、矯正治療が必要になることもあります。指しゃぶりや舌癖が原因で歯並びが悪くなった場合、マウスピース矯正やワイヤー矯正が選択肢となります。
5. まとめ
指しゃぶりや舌癖は、4~5歳以降も続くと歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの対策が重要です。
指しゃぶりの対策
- 子どものストレスを減らし、安心感を与える。
- バンソウコウや指サックを使って、無意識の指しゃぶりを防ぐ。
- できたら褒める・ご褒美作戦を活用する。
舌癖の対策
- あいうべ体操などのトレーニングで舌の位置を改善する。
- 口を閉じる練習を行い、口呼吸を防ぐ。
- 硬いものをよく噛む習慣をつける。
- 歯科医院でのMFT(口腔筋機能療法)を検討する。
子どもの歯並びを守るためには、正しい口腔習慣を身につけることが大切です。気になる癖がある場合は、早めに歯科医院で相談し、適切なアドバイスを受けましょう。